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最新鋭エコトレイン事情「超電導」「蓄電池」で効率進化
CO2「60%減」の凄さ

2014年11月5日

環境に優しい乗り物の優等生である鉄道が進化を続けている。JRグループの公益財団法人、鉄道総合技術研究所は、大容量の電気を車両に送り込めるケーブル の開発を進めている。実用化されれば発電所から送られる交流の電気を、直流に変える変電所の数が減らせ、コスト削減などのメリットが見込める。一方、鉄道 車両メーカーも蓄電池を使った車両の開発に相次いで取り組んでおり、地域の足として活躍も始まった。エコトレイン最新事情を追った。

◆変電所の数を減らせる
鉄道総研が5~10年程度先の実用化を目指して開発しているのが「超電導き電(饋電)ケーブル」。き電とは走行中の電車に安定的に電力を供給する仕組み のこと。開発中のケーブルは電気抵抗がゼロの超電導材を使うため、電圧降下なく大容量の電気を車両に送り込める“スグレモノ”だ。

1本のケーブルの中に、ビスマス系やレアアース系の超電導材を充填(じゅうてん)する。こうした超電導材はマイナス196度と超電導材の中でも比較的高温で、電気抵抗がなくなる超電導状態になるという。このため、安価な液体窒素を冷媒に使えるメリットがある。

平成25年7月、東京都国立市の鉄道総研でケーブルの長さ31メートルで実験を開始。今年7月には同310メートルでの実験に成功した。
多くの私鉄や、関東から中国、四国地方のJRは直流で電車を動かしている。この場合、発電所から送られる交流の電気を直流に変える変電所を数キロ間隔で 設置する必要がある。変電所間の距離が長いと、電線の電気抵抗による電圧降下が大きくなり、列車が走れなくなるためだ。電気抵抗のない超電導ケーブルを架 線に敷設すれば、変電所から遠く離れた場所へも一定の電圧で電気が送れるようになる。

鉄道各社にとって、変電所の設備更新は多額のコストがかかる。長距離に安定して送電できるようになれば、変電所の数を減らすことができる。また、空いた 変電所の土地の有効活用も見込める。少子化で将来の輸送需要減が避けられない鉄道各社にとって収益多角化につなげられる可能性もある。

開発を進める鉄道総研の富田優・研究開発推進室担当部長兼超電導応用研究室長は「列車運行の安定化が図れ、さらなる列車の増便の可能性も期待できる。結果として利用者の利便性が上がる」と話す。

◆回生ブレーキを無駄なくbr />  また、鉄道による省エネ技術の一つに、ブレーキをかけたときに発電したモーターの電気を架線に戻す回生ブレーキがある。ただ近くに、別に走行する電車が ないと、その電気が無駄になる回生失効と呼ばれる状態になる。超電導ケーブルを使えば、回生失効を少なくできる効果もある。

一方、蓄電池を使った鉄道車両の開発が進み、地域の足として活躍が始まっている。JR東日本が開発した蓄電池駆動電車「ACCUM」は、電化区間ではパンタグラフをあげて架線からの電力で走行しながら蓄電池に充電。非電化区間では蓄電池の電力で走る仕組みだ。
非電化区間で走る気動車(ディーゼル車)は、電車よりエネルギー効率が悪く、排ガスや騒音の面でも課題があった。ACCUMは、従来型気動車より走行時の二酸化炭素(CO2)発生量を約60%減らせる。気動車の排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)も全く発生しない。

車両の床下には、高性能な蓄電池のほか、空調用の電源、モーターやその制御装置などが組み込まれている。3月から栃木県のJR烏山線で毎日3往復の運転 を始めた。JR東日本は「今後、車両の増備なども考えたい」(長谷部和則・車両技術センター課長)と手応えを感じている。

◆電化、非電化問わず路面走行
近畿車両は、22年にGSユアサと共同開発した車両駆動用蓄電池システムを搭載し、リチウムイオン蓄電池のみで走行する超低床路面電車 「ameriTRAM」を北米で走らせた。外部充電装置としてパンタグラフを搭載しており、電化、非電化を問わずすべての路線で走ることができる。

蓄電池路面電車の開発ノウハウを生かし、24年には長距離の非電化路線を外部充電することなく走行する自己充電型バッテリー電車「SmartBEST」 を完成させた。従来の気動車に比べ半分以下の小さなエンジン発電機で蓄電池に充電し走行することができる。堀江富士雄取締役は「これまで開発した技術を生 かして、さらなる省エネルギー車両を開発していく」と話している。(松村信仁)

掲載元: yahoo!ニュース(産経デジタル)

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