最新情報

ソーラー発電 静岡県内茶畑で拡大 生産と両立、副収入

2015年12月10日


茶畑の上に設置された太陽光パネル。営農型太陽光発電を導入する
農家が増えている=6月、沼津市(スマートブルー提供)

 農地の上に太陽光パネルを設置して発電する営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)が、県内の茶畑で広がっている。お茶の生産を続けながら売電による副収入も得られるとして、茶価低迷に苦しむ農家が導入に踏み切っているためだ。日陰を作る太陽光パネルとの相性の良さも際立ち、茶産地での普及を後押しする。

 沼津市の茶農家中村政巳さん(63)はことし6月、広さ約10アールの茶畑で営農型発電を始めた。約2・5メートルの高さに160枚のパネルを並べる。毎年200万円近い売電収入を得られる計算で、10年程度で初期投資を回収できるとみている。「自然相手だが、トラブルもなく順調。所得向上につながり、やって良かった」と話す。

 お茶は黒い覆いをかぶせて日光を遮る栽培方法がある。茶葉の色が濃くなり、うまみが増すのが特徴だ。全国営農型発電協会(東京都)は「お茶はパネルの設置で日照量が減ってしまうという課題をプラスに変えられる作物」と推奨する。

 県農地利用課によると、2013年3月に始まった営農型発電は13年12月末に県内で6件だったが、ことし10月末で73件と急増している。作物別ではお茶が32件で最も多く、コメやシイタケ、ミョウガ、ブルーベリーなどで導入が進む。

 太陽光発電システムなどのスマートブルー(静岡市)は、県内を中心に12件の営農型発電を手掛ける。このうち5件はお茶が占める。塩原太一郎社長(43)は「収量が減らず、茶葉の色が良くなる利点がある。導入を進めて耕作放棄地の増加を食い止めたい」と意欲的だ。

 菊川市の茶畑で営農型発電に取り組むフジワラ(東京都)は、本県の日照量の多さに着目する。担当者は「安定した売電収入が得られれば、若い人も参入しやすくなる」と普及に期待を寄せる。


 ■売電価格下落がリスク

 営農型太陽光発電の拡大には課題もある。発電した電力の買い取り価格が下落していて、今後も変動するリスクを抱えているのが要因。研究機関も生育面に及ぼす影響は未知数だと指摘する。

 導入が可能になった2013年の買い取り価格は1キロワット時当たり36円(税抜き)だった。その後は段階的に引き下げられ、現在は27円(同)。一般的に初期投資を回収するまでには10年前後かかるとされる。今後も下落が続けば回収までの期間が長引いたり、採算性が厳しくなったりする可能性がある。

 長期間にわたり日照を遮った場合の生育面への影響もよく分かっていない。県茶業研究センター(菊川市)栽培育種科の中野敬之上席研究員は「短期間であれば霜や夏の温度上昇を防ぐ効果はあるが、1年以上取り組んだ場合のデータはない」と話し、現場の取り組みを注視する考えだ。


 <メモ>営農型太陽光発電 農産物の生産と太陽光発電を両立させる取り組み。農地の上に藤棚のような骨組みを作り、上部のパイプなどに太陽光パネルを取り付ける。農林水産省が2013年3月に規制を緩和し、収穫量が2割以上減らないことなどを条件に発電を認めた。

記事元: 静岡新聞SBS

▲ページトップ

Copyright © Vis Portal All Rights Reserved.