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宇宙での太陽光発電、政府が2030年代実現目指す…月面なら地球一個分の電力を発電

2016年3月1日

「清水建設 HP」より

 昨年秋に九州電力の川内原子力発電所1号機(鹿児島県)が再稼働し、2年以上続いた「原発ゼロ」が解消された。かつては国内総発電量の3割を占めていた原発であるが、2011年の東日本大震災以降停止が相次ぎ、ベース電力としての役割を果たせていなかった。政府もさすがにこれ以上原発なしでは持たないとみて、徐々に復活させつつあるようだ。

 石油・石炭・天然ガスによる火力発電が9割を占める現在の日本の電力事情を鑑みると、原発再稼働に期待する声も理解できるが、福島の原発事故以降、原発に対する風当たりも強く、いまだぎりぎりのせめぎあいが続いている。

 そんななか、将来、国内の電力問題を一気に解決する可能性を秘める、アッと驚く発電技術を、日本が真剣に進めているという。その名も、「宇宙太陽光発電」だ。内閣の宇宙開発戦略本部が中心となり、国の施策として推進している。

 文字通り、宇宙空間で太陽光発電を行う技術である。具体的には、宇宙空間に太陽電池パネルを設置し、発電した電気を電磁波に変換して地上の受電設備まで飛ばし、そこから通常の電力網に送られる仕組みである。

 地球上とは違い、大気という邪魔物がない宇宙空間では、単位面積当たり10倍の太陽光エネルギーを得ることができる。なおかつ昼夜がないので24時間発電が可能。発電したら、それを電磁波として地球に送るが、送る際のロスが半分としても、地上での発電に比べれば圧倒的に効率が良く、新しい発電技術として期待されている。化石燃料を使った火力発電とは違い、一切環境負荷物質を発生しないクリーンエネルギーだし、24時間365日発電し続ける。2キロ四方の太陽電池パネルで、原子力発電所1基分の発電が可能だそうだ。

 この発想は以前から存在したが、膨大な建設コストがネックとなりアメリカは手を引いたし、今でも一部では「馬鹿げた計画」といわれているが、政府は2030年代の実現に向けて、開発姿勢を崩さない。


■課題

 もちろん、課題がないわけではない。むしろ山積みだ。
 そもそも、太陽電池パネルをつくるための大量の資材をどうやって宇宙まで運ぶのかという疑問が、真っ先に思い浮かぶだろう。およそ数万トンの部材が必要となり、少なくともロケットで500往復する必要があるといわれている。ロケット一回の打ち上げに約100億円かかるため、運搬費だけでも5兆円となる。5兆円といわれてもピンとこないかもしれないが、建設が始まったリニア新幹線の総工費が約10兆円なので、想像を絶するというレベルではないかもしれない。

 また、強力な宇宙線の中、誰がどのように作業をするのかも課題となる。完全装備をしても、宇宙空間で人間ができる作業は限られるし、宇宙線の人体への影響を考えると、長時間の作業は不可能だ。ここはまさに日本が誇るもひとつの技術、ロボット技術の出番だろう。


■月太陽発電

 そんななか、宇宙発電に関して別の方向から驚きのアイデアが提唱されている。なんと、「宇宙太陽光発電」ならぬ「月太陽発電」だ。宇宙空間でなく、月面に太陽電池パネルを敷設してそこで発電し、地球に電磁波で飛ばすのである。この技術は、清水建設が公式に発表している。

 なぜ月面なのか?

 実は、太陽電池パネル建設のために月の砂を使うという発想が根底にある。月の砂を原料とすることで、セラミックス、コンクリート、ガラスといった、太陽光発電所建設に必要な要素部品がつくれることから、わざわざロケットを500往復させる必要性がなくなるのだ。また、作業はロボットが自動で行うため、人間が介在することはない。

 清水建設によると、月面の赤道一周分の太陽電池パネルを敷設すれば、地球一個分の電力が賄えるそうだ。予算がつけば、35年には建設開始が可能だという。

 いずれにしても驚きの構想であり、どこまで実現性があるのかはまったくもって未知数ではあるが、宇宙開発に関してはぶっちぎりで先を行くアメリカですら手を引いた計画に、あえて取り組むという姿勢がにくい。とても夢がある話であり、家族あるいは友人たちと長い目で応援できる、昨今では珍しい、日本を元気づける開発テーマではないだろうか。

(文=星野達也/ナインシグマ・ジャパン取締役 ヴァイスプレジデント)

記事元: Business journal

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